CADフリーソフト徹底解説!おすすめの無料&有料CAD比較まとめ

2020 年 06 月 12 日

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ひとことに CAD といっても、その種類は様々です。2D CADや 3D CAD、無料で利用できるCADフリーソフトから数万円~数百万円の有料ソフト、または汎用的な CAD から特定の分野に特化した機械 CAD や建築 CAD など、数多くの製品が存在します。そんな中で自分の目的に合った CAD を探すのは難しいですよね。
この記事では、人気のCADソフトを特徴や用途、利用料金などからメリット・デメリットをまとめ、おすすめのCADフリーソフト・有料ソフトを初心者の方にも分かりやすく解説いたします。

目次

CADソフトにはどんな種類がある?

CAD には多くの種類があり、何を使えば良いのかわからない方も多いのではないでしょうか。
CADソフトはもちろん、CAD自体も多くの種類があり、利用目的によって選択する必要があります。

汎用CAD

汎用CADとは、あらゆる分野の図面を作図できるように基本的な作図機能を備えたCADを指します。
無料で使えるものから有償のものまで幅広い価格帯の製品が存在し、操作方法もCADによっては大幅に変わります。 特に AutoCAD と Jw_cad は書籍やネット上の学習資料も豊富で誰でも簡単に習得できるようになっています。

主な汎用CADソフト : AutoCAD、AutoCAD LT、IJCAD、Jw_cad など

参考記事:
CAD とは?初心者でも大丈夫!基礎知識から詳しく解説します

機械CAD

機械CADは、機械設計を行う事を目的としたCADソフトです。 自動車、家電・電化製品など身近な機械から飛行機や工業用の大きな機械まであらゆる機械設計に使われています。 機械CADも2次元と3次元のCADが存在しますが、特に3次元CADへの切り替えが進んでいる分野です。

主な機械CAD:SolidWorks、CATIA、IJCAD Mechanical など

参考記事:
機械CADとは?2Dと3D の機械CADは何が違う?専用CADや資格もご紹介します

建築CAD

建築CADは、住宅や施設など建築物の設計を行う事を目的としたCADソフトです。 建築CADでは設計図を作成するほか、アプリケーションによってはプレゼンテーション用のパース作成や役所への申請書類の生成、構造計算や住宅性能評価など人の手で行うと時間が掛かったりミスが発生しやすい作業を自動化するシステムが搭載されています。

主な建築CAD:ARCHITREND ZERO、Vectorworks Architect、IJCAD Archi など

参考記事:
建築CADでは何ができる?汎用CADとの違いは?ソフトや関連資格などもご紹介します

電気CAD

電気CADは、電気設計を行う事を目的としたCADソフトです。 電気CADでは電気図面を作成する時に必要な部品が大量に搭載されているため配電盤や制御盤などを簡単に配置でき、部品表や正常指示書などを自動で作成する機能が搭載されています。

主な電気CAD:IJCAD Electrical、ACAD-DENKI、SOLIDWORKS Electrical など

参考記事:
電気CADとはどういう分野に使えるソフト?汎用CADとはどこが違う?専用CADや資格もご紹介します

BIM

BIM とは、Building Information Modeling (ビルディング インフォメーション モデリング)の略で、建築設計の中で設計を行うワークフローの仕組みとそれらを行うアプリケーションのことを指します。 BIMでは、PC上に実際に建築する建物と同じ立体モデル(BIMモデル)を作成し、そのモデルから設計図や構造計算、設備計画、各種表などを作成します。BIMモデルは全てのデータが連動しており、修正が必要になってもBIMモデルを修正するだけで設計図から表まですべて自動的に修正されます。これまで掛かっていた修正にの手間や時間を削減することができ、かつ必要な箇所がすべて自動的に修正されるためミスや無駄を防ぐことができます。

BIMに対応した主なCADソフト:Autodesk Revit、VectorWorks Architect、ARCHICAD など

無料で使える CAD フリーソフトまとめ

Jw_cad - CADフリーソフトの定番!

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Jw_cad は日本で開発された汎用 CAD です。国内の二次元CAD市場では、AutoCAD に続き多くの企業に利用されているソフトウェアです。無償で配布されているために誰でも簡単に利用を始められることが特徴です。 開発に建築士が携わっていることから建築図面を製図するときに便利な機能が豊富で、建築汎用 CAD と呼ばれることもあります。 建築設計向けのコマンドとして、

フリーソフトでありながら作図の基本機能は備えており、独自のメニューを使いこなすことができ。また、今もなお不定期でアップデートが行われています。

Jw_cad はマウスで操作する時計型のメニューが特徴的です。これはクロックメニューと呼ばれます。 クロックメニューは作図領域でマウスをドラッグすることで表示でき、表示された時計の針の回転位置によって起動するコマンドを決定します。 これらの機能を使いこなすことで、高速な作図が可能となります。

■ Jw_cad の基本情報

製品名Jw_cad [ジェイダブリュキャド]
メーカー
価格無料
対応 OSWindows
※ 有志により、JW-CAD for Mac が配布されています
CAD の種類2次元汎用CAD / 2次元建築汎用CAD
メリット・個人/商用ともに完全無料
・歴史あるソフトなので、学習資料が豊富
デメリット・DWGに対応していない
・DXF R12 までしか対応していない
独自の操作メニューであるため、AutoCADに乗り換えにくい
対応形式JWW / JWC / DXF / SXF
製品サイトhttp://www.jwcad.net/

Jw_cad は AutoCAD の基本形式である DWG に対応していません。DWG を Jw_cad で開きたいときは、データ変換サービス等を活用しましょう。

・無料で使えるデータ変換サービス DAREはこちら
・Jw_cad 専用プラグイン DARE Jwはこちら

Root Pro CAD Free - 作図編集・印刷機能が使えるフリーソフト

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Root Pro CAD Free は、作図機能と印刷機能のみが使えるCADのフリーソフトです。有償版の Root Pro CAD の機能制限版となっています。 Root Pro CAD Free は初心者でも分かりやすい Windows ライクなインターフェースが特徴です。

■ Root Pro CAD Free の基本情報

製品名Root Pro CAD Free [ルートプロキャド フリー]
メーカー株式会社ルートプロ
価格無料 (有料版あり)
対応 OSWindows
CAD の種類2次元汎用CAD
メリット・無料 CAD ながら、DWG、JWW 共に互換性あり
デメリット・利用者が少なく、学習用の資料が少ない
対応形式DWG / DXF / JWW / JWC / SXF / Root Pro CAD ファイル
JWW / SXF での保存は有償版のみ
製品サイトhttp://www.rootprocad.com/index.html

FreeCAD - オープンソースでカスタマイズ性の高い3次元CAD

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FreeCAD は、オープンソースで公開されている3次元CADフリーソフトです。歴史は古く、2002年から20年近くに渡り有志によって開発が進められています。もともとは、1990年代に公開されていた3次元CAD「CAS.CADE」のプログラムがオープンソース化されたことから始まりました。 海外発のFreeCADですが、日本語版も提供されています。

■ FreeCAD の基本情報

製品名FreeCAD[フリーキャド]
メーカー-
価格完全無料
対応 OSWindows
CAD の種類3次元汎用CAD
メリット・個人/商用に関わらず完全に無料
・オープンソースであるため、プログラミングが出来れば自由にカスタマイズ可能
デメリット・初心者向けのインターフェースではないため、使いこなすまでに時間が掛かる
・サポート等が全くないため、問題が起こったときは自己解決が必須となる
対応形式DWG / DXF / 3ds / STEP / IGES / Python など
製品サイトhttps://www.freecadweb.org/?lang=ja

人気の高性能 CAD ソフトまとめ

CAD は無料のフリーソフトから数十万円の有料ソフトまで幅広い価格帯でさまざまな製品が存在します。一般的に CAD は付属する機能によって値段が異なり、必要な機能は利用用途によって決まります。とにかく安く抑えるために低価格の CAD を購入しても、目的を果たせなければ意味がありません。
利用目的にあった CAD を見つける際にご参考ください。

AutoCAD - 2次元CADのシェアNo.1

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AutoCAD は、Autodesk 社が開発した世界的シェアを誇る 2D/3D 対応の汎用 CAD です。CAD といえば AutoCAD を思い浮かべる方も少なくないでしょう。

2D CAD 図面で一般的によく使われる dwg 形式も、AutoCAD と同様にAutodesk 社が開発したファイル形式で、世界中で使われているファイル形式であるためデータの共有がしやすいことに特徴があります。
しかし、日本では JWW 形式 や SXF 形式という独自のファイル形式が流通しており、これらの形式は AutoCAD は非対応であるため別途変換ソフト等が必要になる可能性があります。

また、Autodesk 社は 2018年よりサブスクリプションモデル(定額制)のみの販売となりました。一度に高額な利用料を払う必要がなくなったために導入の敷居が下がった一方で、長期利用を考えて買い切りモデルの CAD に乗り換えるユーザーもいたようです。

■ Auto CAD の基本情報

製品名AutoCAD [オートキャド]
メーカーAutodesk
価格サブスクリプションモデルのみ
月額 27,500 円 / 年額 220,000 円
対応 OSWindows / Mac
CAD の種類2次元/3次元汎用CAD
メリット・トップシェアを誇るCADのため、ファイルの共有がしやすい
・トレーニングや関連書籍が豊富
・操作のアシスト機能も多く、初心者でも扱いやすい
デメリット・2次元CADとしては高額
・機能が豊富なため、全て使いこなすことが難しい
・他の2次元CADの比べて起動が遅い
・JWW や SXF は利用できない
対応形式dwg / DXF / PDF / DWF / IGIS / SAT など
読み込みのみ CATIA, JT, SolidWorks, Inventor など
製品サイトhttps://www.autodesk.co.jp/

AutoCAD LT - 機能を絞って安価にAutoCADを利用可能

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数多くある AutoCAD の機能から一部の機能だけを搭載することで低価格化を図った AutoCAD LT。一部の機能とはいえ基本的な作図コマンドは抑えてあるため、とにかく手を動かして勉強したい!という初心者の方から本格的に 2D CAD 図面を設計するプロまで利用できることが特徴です。 3D 図面には未対応です。

■ AutoCAD LT の基本情報

製品名AutoCAD LT [オートキャド エルティー]
メーカーAutodesk
価格サブスクリプションモデルのみ
月額 8,000 円 / 年額 68,200 円
対応 OSWindows / Mac
CAD の種類2次元汎用CAD
メリット・3D機能と一部の機能がないが、安価にAutoCADを利用できる
・トップシェアを誇るCADのため、ファイルの共有がしやすい
・トレーニングや関連書籍が豊富
・操作のアシスト機能も多く、初心者でも扱いやすい
デメリット・LTでも2次元CADの中では比較的高額
・サブスクリプション特典が付かない
・他の2次元CADの比べて起動が遅い
・JWW や SXF は利用できない
対応形式DWG / DXF / PDF / DWF
製品サイトhttps://www.autodesk.co.jp/

IJCAD - 互換CAD国内シェアNo.1

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IJCAD は、AutoCAD 互換 の汎用 CAD です。 AutoCAD 互換 とは、AutoCAD の操作性をほとんどそのままに、dwg 形式とも高い互換性をもつ CAD のことを指します。AutoCAD よりも安価なことが特徴です。

IJCAD は、AutoCAD と同程度の機能が搭載されている IJCAD PRO、AutoCAD LT と同程度の機能が搭載されている IJCAD STD、さらに機能が厳選されている IJCAD LT の3段階のグレードに分かれています。グレードによって価格が異なり、一番低グレードの IJCAD LT は買い切り 55,000 円で購入が可能です。

操作感や画面構成が AutoCAD とほとんど同じであるため、AutoCAD ユーザーなら問題なく使いこなすことができます。

■ IJCAD の基本情報

製品名IJCAD [アイジェイキャド]
メーカーIntelliJapan
価格買い切りモデルのみ
PRO 100,000 円
STD 75,000 円
LT 55,000 円
対応 OSWindows
CAD の種類2次元汎用CAD
メリット・比較的安価で AutoCAD と同じ操作感の CAD が使える
・DWG、JWW 共に互換性あり
デメリット・3D の機能が弱い
対応形式DWG / DXF / JWW / SXF / img ファイル など
製品サイトhttps://www.ijcad.jp/

SOLIDWORKS - 3次元CADのトップシェア

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SOLIDWORKS は、手頃な価格で使いやすいをモットーとしているダッソーシステムズが開発している機械設計用の3次元CADです。 親会社のダッソー・アビアシオンは戦闘機を開発していたことで有名で、自社の設計用に開発したCATIA と呼ばれる3次元CADも、多くのシェアを誇っているポピュラーなソフトです。

SOLIDWORKS は機械設計用のCADですが、その高い利便性や操作性と3次元CADとしては安価に導入できることから建築や設備設計など広い分野で活用されています。

■ SOLIDWORKS の基本情報

製品名SOLIDWORKS [ソリッドワークス]
メーカーダッソー・システムズ
価格SOLIDWORKS Premium 購入 1,580,000円 / サブスク 324,000円
SOLIDWORKS Professional 購入 1,180,000円 / サブスク 204,000円
SOLIDWORKS Standard 購入 985,000円 / サブスク 204,000円
対応 OSWindows
CAD の種類3次元機械CAD
メリット・3次元CADの分野ではポピュラーなソフトで学習資料が豊富
・部品やデータベース管理でエクセルとの連連携も可能
・入出力に対応している拡張子が多い
デメリット・動作が重い
・板金加工や機械加工は専用のアドインが必要
対応形式IGES / STEP / Parasolid / SAT (ACIS) / DWG / DXF / STL など
製品サイトhttps://www.solidworks.com/ja/product/whats-new

Fusion360 - クラウド上でデータを管理

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Fusion360 は、国内外で2次元CADのトップシェアを誇る AutoCAD で有名な Autodesk社が開発した3次元汎用CADです。 Fusion360は3次元の設計を行うだけでなく、このソフト単体で機械加工データを作成するCAM機能、構造解析が可能なCAE機能、3Dプリンター用データの作成機能やCG制作など幅広い機能を持ち合わせています。 また、Fusion360のインターフェースはリボンメニューを採用しているため、初めて3次元CADに触れる初心者の方でも直感的に操作が可能です。価格も3次元CADとしては安価であることから、初心者の方でも導入しやすいソフトでしょう。

■ Fusion360 の基本情報

製品名Fusion360 [フュージョン360]
メーカーAutodesk
価格サブスクリプションのみ
1ヵ月 7,700円 / 1年間 61,600円 / 3年間 166,100円
※ 個人で利用の場合は1年間無償
対応 OSWindows / Mac
CAD の種類3次元汎用CAD
メリット・クラウドベースであるため、インターネット環境があればどこでも編集が可能
・クラウドベースであるためプロジェクトの管理効率が良い
・導入コストが低い
デメリット・インターネット環境が必須
・動作が重い
対応形式f3d(Fusionドキュメント) / IGES / STEP / Parasolid / SAT (ACIS) / STM など
クラウドにアップロードすることで開くことができるファイル形式 DWG / DXF / WIRE / Inventer ファイル / FBX など
製品サイトhttps://www.autodesk.co.jp/products/fusion-360/overview

Inventor - クラウド上でデータを管理

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Inventor は国内外で2次元CADのトップシェアを誇る AutoCAD で有名な Autodesk社が開発した機械設計用の3次元CADです。板金設計や配管、金型設計、配線設計、フレーム設計からモデリングやシミュレーション、レンダリングなどが行えます。 InventorはプロフェッショナルレベルのCADソフトですが、AutoCADに似たインターフェースで直感的に操作できます。

■ Inventor の基本情報

製品名Inventor [インベンター]
メーカーAutodesk
価格サブスクリプションのみ
1ヵ月 44,000円 / 1年間 349,800円 / 3年間 944,900円
対応 OSWindows
CAD の種類3次元機械CAD
メリット・フリーフォームモデリングが可能
・対応する拡張子が多い
・他ソフトやBIMとの連携が可能
デメリット・機械加工データを作成するCAM機能がない
・学習資料が少ない
・導入コストがやや高い
対応形式ipt / CATIA / Creo Parametric / IGES / STEP / JT / Parasolid / SAT (ACIS) / STM など
製品サイトhttps://www.autodesk.co.jp/products/inventor/overview

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